pomme_pomme’s diary

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ジュネーブ 教育論vol.5

久しぶりに筆を執る。長い文章を書くのは本当に久しぶりだ。心の整理というか、もやもやとしたものに対峙したい。

同年代の好きだった俳優が急逝した。ここ1週間は私も心のどこかにどうして?、?、?、という気持ちがぐるぐると回っている。インスタでフォローしているそこに映る彼女は元気そうだったのに。いろいろあっても頑張ってるなぁと陰ながら応援していた。

ふと学生時代の課題で、自裁死を防ぐポスターを作ったことを思い出した。

思春期や人生におけるいろんな段階で「どうして私はできないのか」「限界まで努力してきたのに希望は叶わなかった」「誰にも必要とされていない」「辛くても独りで解決するのが美徳」「友達なんか一人もいない」など、人間の心の中にある自己否定が巻き起こす負の方向性を癒すには、逃げることや止めることに気が付かせてくれる人が必要なのかもしれない。皆、学校や会社、地域というものに所属して生きている人が大半であるが、私のように一度離れてみて、休養し充電すると、ふとそんなことに気が付いた。一度ぜんぶ捨て、やり直していい。

人間誰しも「個」である部分というのは、どこかで向き合っているのであろう。子どもがいても、夫がいても家族と生活していても、一人の時間はある。子育てや仕事に追われ、あまり考える時間のないことはきっといいことで、しかし人間誰しも死に向かって生きていることは紛れもない事実なのだが、途中でどうしても苦しくなって、誰かに頼りたいのに頼れない環境、いや頼らなくてもいいが誰かがそっと見守ってくれる状況が今はないのか、社会や時代が余裕を持っていないのが分かる。

こうも長くCovid-19の影響でステイホームが続くと、しかもお天気がすぐれないとなると、気持ちのスカッと晴れ渡らない。でも、自分のライフワークがあると、こんな巣ごもり生活でも結構楽しく、人間は自分の好きなことが生きがいというか、生きている自分を自問せずともやりたいことに没頭できるものだ。時間も忘れ、夢中になれるものに出会えると死など意識しなくなる。自分の場合、スイスで出会った第3の人生、Sewingがライフワークとなって人生を豊かに幅をもたらせてくれている。何かを創造することは楽しく、そしてとても尊いことだ。大学で美術にかかわる内容を学べたことは自分に今後の方向性、きっかけを与えてくれたに過ぎないが、入り口であれ、それで十分だ。そこからは自分で学び開拓すればいいのだ。自分の幸せは、結局はその自分でしか分からない。周りから見えるものと違う。

話が飛んでしまうが、自分を支えてきてくれたもの、皆さんは何だろうか。

振り返ってみると、私の場合、「今井美樹」「樹木希林」という芸能を生業にする自分より年上の女性の存在であった。歌や演劇という無形の芸能から得られた感動は、どれだけ私に栄養を与えてくれたか分からないほどだ。であるから、同年代の俳優の急逝は心が痛むまだ受け入れられないでいる。

日本の子供たちの自己肯定感は未だに低くあるのだろうか、教育はその時代の先を行きながら、人を柔らかく包むものであってほしい。両親が、家庭がどんな状況であれ、支えられる社会。学校や会社ではない第3、第4、第5の場。そういう場所が子どもを育む。いや、子どもだけではない、老若男女の心を豊かにすると考えている。私にもできるだろうか、そういう場所が作れる人間でありたい。

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そういえば、夫の職務の任期は2年なのだが、1年更新されそうだ。11歳になる娘は、スイスでの生活が軌道に乗ったようで、あと1年半スイスで生活したいと希望している。彼女の通うインターナショナルスクールの良いところは、ダイバーシティーにある。自分ももうしばらくこちらで一緒に暮らしていこうと思う。